Literary Machine Nº9

文学と音楽、ロンドンの陸地で溺れる税理士

ACCAの勉強方法その1: Applied Knowledge 3科目を1ヶ月でパスするのに必要な勉強

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昨日、ACCAの3科目目を受験して無事合格しました! これで、ACCA基礎科目制覇、フェーズ1完了です。

5月に思い立って1ヶ月ちょっとで3科目取れたのは快挙じゃないですか!(ドヤ)

(6月からは有給消化中なので、MAは専念みたいな状況でした)

FAを受けたときに試験監督のおっさんが「来週MA行けるやろ」とか言うから試験日前に徹夜する羽目になったわけですが……。

ちなみにそれぞれこんな点数でした。勉強時間は面白いことに(というかキャップを設けていたんですが)ほとんど50hずつです。

  • 5/22: Business and Technology (BT) 77%
  • 5/29: Financial Accounting (FA) 80%
  • 6/6: Management Accounting (MA) 76%

毎週受験しているので、東京ドーム前の受験会場の狭い事務所に入って試験部屋を覗くといつものおっさんがいる景色。
"Hi."
"Are you ready to start?"
って感じでゆるーく試験が始まります。

ここまでのところ、勉強は楽しくできています。ゲームのクエストをクリアしていく感覚に非常に近いなと思います。もちろん、最初の基礎科目だからそんなこと言っていられるだけな気はしていますが……。 

さて、ACCA(英国勅許公認会計士)は、13科目というステップの多さや日本での知名度が低すぎるというだけでなく、USCPAに比較して日本語で書かれた情報が少なすぎるのが悩みですね。勉強を始める前後では、情報収集や勉強手段の確立にかなり手間がかかりました。ACCAの公式サイトは情報量が多すぎて苦痛ですし……。

そこで、今回は鉄板のACCAの勉強方法・学習ツールをまとめてみました。 もちろん僕はまだ3科目しか受けていないので、基礎科目だけの話です。

僕のACCA受験ポリシー

ポリシーというと大げさですが、自分なりの基準です。

時間をかけすぎずにできるだけ効率よく合格したい!

なので、予め勉強時間の目安を決めて、仕上がり具合と相談しつつ早めに試験日を設定していました。仕上がりは完璧ではなくて、結構自信なかったりします。精神にあまりよくありません。

じっくり学習して知識を定着させて自信を持って合格していきたい方には適さないので、ご了承ください。

 最強の勉強方法はあるのか

2021年現在、日本語で教えられているACCA講座で定評のあるものはまだありません。残念ながらUSCPAのA校のような存在はないのです。 この状況がほんの10年で変わる可能性もありますし、2200年になっても変わっていないかもしれません(むしろ、日本や日本語がなくなってる可能性もあるな)。

先に結論を書くと、後述の通り最強はOpenTuitionでインプット + 問題集(BPPなど)でアウトプットです。理由はコスパと効率性ですが、色々試した内容を以下で説明します。

1. OpenTuition

https://opentuition.com/

Redditなどのコミュニティでもよく「おいどうやって勉強したらいいんだ?」という質問が出てくるんですが、間違いなく挙がっていたのがこのOpenTuitionです。

無料なので、受験科目のテキストと動画を見てみて、合わなそうだったら別の手段を探すのがいい気がします。つまりACCA受験生は、OpenTuitionを使った奴と、使ってない奴だけ(当たり前ですが)なわけで。要は、勉強方法のフローチャートの一番目です。

概要/Pros

  • 講義テキスト(PDF)をダウンロードして、講義動画(Youtube)を見ながら学習するスタイル(組み合わせが前提)
  • モジュール制ではないので、クリックしたりスクロールしたりというまどろっこしいアクションが要らない
  • テキストがPDFのため、印刷してもよし、iPadなどのタブレットに入れるのでもよし
  • Youtube上に動画が上がっているので、自動生成の字幕(英語)を利用できる
  • 講義の合計時間はApplied Knowledgeの科目だとせいぜい20時間程度と短いため、インプットを早めに終わらせて演習に進められる
  • 各チャプターの復習問題やMock Examがある
  • 講義や復習問題のページの下部にそれぞれコメントを書き込めるので、関連する質問と公式の回答を簡単に参照できる
  • 完全無料

Cons

  • ACCAのシラバスは網羅しているが、必要最低限というコンセプトなので、インプット自体足りない部分がある
  • アウトプット(演習)が圧倒的に足りないため、これだけではまず合格できない
  • モジュール制ではないため、遊び心がなくて地味で退屈で眠くなりやすいかもしれない
  • 自分で進捗を管理しなければならない
  • 英語のしゃべり(しかも講師によってはアクセント強い)という最大の難点。自動生成字幕があっても、日本語字幕ではないので、僕のような純ジャパにはつらい
  • マイクの質が悪くて音が良くない(上記とあいまってつらいです)
  • 講師がおっさんとおじいちゃんONLY

箇条書きでまとめましたが、こんな感じです。 チャンネーの講義が聴きてえ輩には向きませんが、英語のリスニングさえなんとか乗り切れば、他のConsを問題集でカバーして、最強に至ります。

僕の場合リスニングの理解度は5割くらいな気がしますが、どうせ問題集で補正できるので、なんとかなります。

ちなみにOpenTuitionのLWのおじいちゃん先生はギャグを入れたりして面白そうなんですが、スコティッシュアクセントが強すぎて僕には厳しいです。

2. BPP, Kaplan (出版)

https://learningmedia.bpp.com/

https://kaplanpublishing.co.uk/

BPPとKaplanはACCA公認の教材出版社のため、テキストや演習のための問題集を買う際は必ずこのどちらかの出版物を選びましょう。 どちらも高品質なんですが、OpenTuitionが推している(20% discount)のもあって、僕はBPPを使っていました。デザインもオシャレだし、このライオンもなんかかわええよね。

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なので以下はBPPに絞ります。

毎年9月からシラバスが改定(?)されるのに合わせてバージョンが更新されるため、受験時期とシラバスの改定状況を勘案して購入してください (個人的にはあまりこだわらずに常に最新版を買ってしまっても差し支えはなさそうな気がしますが、ご注意を)。現に僕は2021年9月以降用の教材で3科目勉強しました。

以下が注意点です。

  • テキストは500ページをゆうに超えるため、通読するのは完全に時間の無駄です。しかも情報量が多すぎて身につかないです。これは海外の先達がみんな口を揃えているので、守りましょう。絶対に通読しないこと。通読したいなら将来棺に入れてもらいましょう。
  • 問題集は解ける問題を何度も繰り返し解かないように気をつけてください。少なくとも初期の科目は、Over-learning(過学習)が必要なほど合格ラインが低くはないため、解法や知識を必ず100%に保っておかなければいけないとは考えられません。
  • 解説は超重要です。

なお、すべて電子版と紙が用意されていますが、紙は送料が高いのと、短期決戦のせいで配送を待っていたら試験日が来てしまうため、仕方なく僕はすべて電子版にしました。 Amazonでも科目によっては紙版を売っていたりしますが、取り扱い科目が少なすぎて無理です。取り扱いがあっても海外からの発送だったりします。

BPPの場合電子テキストはPDFではなくて専用のソフトウェアで閲覧する仕組み(iOSアプリもあり)になっています。 Apple Pencilで書きこんだりもできるんですが、閲覧モードでないとページがめくれない点や、書き込みモードと閲覧モードの切り替えが面倒な点から、実用性が厳しいという残念な仕様です。

そこで、2科目目のFAのときに、iPadで各ページのスクリーンショットを撮って、PDF化し、GoodNotesで書き込む手段に行き着きました。 PDF化の作業に小一時間はかかるのが難点ですが、これを始めてから学習効率が格段に上りました。書き込んだり消したりを気軽に繰り返せるので、特に問題演習への効果抜群です。 むしろもう紙版は非効率なので要らないなという気分です。はじめからPDFで売って欲しいんですが、そんなことしたらネットにアップロードされちゃうでしょうね……。

3. 最強セット(OpenTuition + 問題集)

Redditでも言われていて、僕も試して確信しましたが、上記の2つを組み合わせるのが今のところ最適解です。

OpenTuitionの教材が浅いのを逆手にとって、さっくりとインプットを終えて、BPPやKaplanの問題集の演習をメインに行うやり方です。
僕は、OpenTuition + BPPの問題集でFAとMAをクリアしました。それぞれの内容は既に書いたので、僕がどう勉強したかだけ記します。

  1. まず、OpenTuitionの講義動画をテキスト片手に複数チャプター見ます。字幕が頼りです。チャプターごとにPractice問題(5問程度)があるので解いておきます。
  2. ある程度のテーマの塊のインプットが済んだら、BPPの問題集を解きます。本来はインプットする度に問題を解けるといいんですが、教材がリンクしていないのでそれができません。講義一チャプターを終えてすぐに問題集を解こうとしても、解ける問題と未知の問題が混在していて、無意味な選り分けが求められてしまいます。
  3. 問題集は、個別問題とMulti-task questionsだけ一周して、解けなかった問題だけできる限り2回目・3回目まで解きました。3回解いても間違えた問題は試験直前に読み返そうと思って印をつけましたが、結局読み返しませんでした。そのくらい適当でも75-80%は得点できたので、ある程度仕上がるラインなんだと思います。
  4. とはいえ問題集の回答解説は重要なので必読です。ここでインプットの不足を補えます。解説が親切でなかったりして、イラつくこともありますが、この解説を理解することで合格が着実に近づきます
  5. Mixed Banksは余裕がなかったので、全く解きませんでした。個別問題と総合問題の中間なので、重要度は落ちると思います。演習の幅を取りたい方向けのオマケですね。
  6. Multi-task questionsは大切。ここに出てくるテーマは重点的に学習する。FAでいえば、キャッシュ・フロー計算書と連結会計
  7. Mock Examsは解きませんでした。解く場合には、一通り学習した時点で一問解いて、試験前の仕上げにもう一問解いて確認しておくような運用でしょうかね。Mock Examの一問目は丸々ACCAの公式Specimenなので、ここで特よりは公式で解いた方が、本番と形式が似ていていいかもしれません。ただ、その場合は本番同様正否を記録できないので、問題を解きっぱなしになってしまいます。

なお、OpenTuitionのテキストはほとんど読み返しませんでした。 MAでは原価計算など問題集を解いて解説を読んでもピンとこないところだけは、まだそのステージに行けてないということでOpenTuitionのテキストを読み返しました。

4. まとめノート的な

どうしても間違える項目や、覚えなくてはいけない公式などはどこかにまとめておくと良いです。 ただ、試験前にさっと読み返せる分量にしておくのが良い気がします。 まとめノートを作るくらいなら問題を解いた方がいい、という考え方もあるでしょう。

僕はSlackのようなチャットツールにメモったり、画面をキャプチャして貼り付けたりしておきました。

最後に

LWは免除があるので、あえて放棄して受験するか飛ばすかは未定ですが、その次はAAとTXかなと考えています。 ここからはQuarterlyなので、次は9月の試験です。ロンドンで受けることになる予定です。向こうでバタバタだったら受けないかも……? とにかくペースはかなり鈍化します。