Literary Machine Nº9

文学と音楽、ロンドンの陸地で溺れる税理士

上司ガチャにハズレた部下を救えなかった話

部下の退職が決まった。上司ガチャのハズレによって、職場に適応できなかった。 彼女は私の直接の部下ではないから、私はガチャのハズレには含まれていないと宣言しておきたいところである。しかし適応は、職場環境からの絶えざるフィードバックに耐え切れる…

12 May 2023, らちちから

ゴールデンウィークが終わるたび、墓場に還る気持ちになる。墓場で休まるのではなく、既に死せる自分自身を埋めるために働くのだ。そんな墓堀りじみた労働の最中に、とあるクライアントにかなり悩まされている。勿論詳細は明かせないが、女性のヒステリアは…

5 May 2023, 学習について

学習、練習、努力、勉強。 これらを考えるとき、僕らはどうしても目的に向けられた手段としてみてしまいがちだ。 テクニカルスキルというもの 例えば、税理士という職業の場合、実体法たる法人税法や相続税法等の法令の理解はもとより、国税庁の法令解釈通達…

4 May 2023,

トー横 少し前に話題になった歌舞伎町のジェンダーレストイレが今やパパ活に使われているというニュースを見て、不謹慎ながら笑ってしまった。人間というのはたくましい。とりわけトー横キッズと呼ばれる若者たちの生態はなかなかタフでことごとくrawな。 道…

3 May 2023,

ここ数日のブームが幸徳秋水である。というと社会主義者にでもなったのかと思われるかもしれないが、それほど深い理由はない。たまたまこの4月に岩波文庫が幸徳秋水の書いた中江兆民の評伝をreissueしていたから手にとったわけだ。それにしても最近は「読書…

去り際に屁をこくように in the UK - 1話

日本に帰任する日が刻々と迫っている。いざ英国から放逐される段になって、一年半の間「ギグを観るほかは引きこもってYoutubeだけを観ていた」という極めて辛い事実に直面し、これはまずいと焦りはじめた。そういうわけで、帰朝までのわずかな残り時間でさん…

炎上し油を注ぐソクラテス ―宇佐美りん『推し、燃ゆ』

戦乱で消失し今ではわずかな断片しか残されていないニオイア派哲学者アナクサマンドロスの『断片』によれば、ソクラテスが一部アテネ市民から熱狂的アイドルとして人気を博すなか、これを妬み嫉んだ他の多数の市民たちから叩かれ、遂には「青年たちをかどわ…

芥川賞受賞作一覧(Kindle)

166回 (2021年) ブラックボックス作者:砂川文次講談社Amazon 165回 (2021年) 貝に続く場所にて作者:石沢麻依講談社Amazon 【第165回芥川賞受賞作】彼岸花が咲く島 (文春e-book)作者:李 琴峰文藝春秋Amazon 164回 (2020年) 推し、燃ゆ作者:宇佐見りん河出書房…

ウーバーイーツで余計なおまけが付いていたとき、ソクラテスならどうするか

今日のランチにウーバーイーツ(厳密にはDeliverooというサービス)を頼んだら、おまけが付いていた。注文したのはDishoomという英国随一に美味いインドカレー屋だった。この地ではまだ大してカレーを食べていないから偉そうに言えたものではないが、先日初め…

他人の金でする賭博は楽しいか

既にほとんど解決し、語られ尽くした感のある4,630万円の誤振込についての備忘をいまさら書こう。税理士であることを忘れないためにも。 今回の国税徴収法に基づく差押えはかなり強引で、差押処分について行政訴訟を起こされるリスクがあったはずだ。もちろ…

Kindleを忘れかけたこと

先月、日本に一時帰国していた間にKindle Paperwhiteの第11世代を買った。英国でも買えるのにどうしてわざわざ日本で買ったのか。消費税を含む値段以外の理由はない。今回は奮発して公式のカバーと保護シールも購入した。 そんな買ったばかりのKindleだった…

村田沙耶香『コンビニ人間』(ネタバレ感想)

コンビニ人間 (文春文庫)作者:村田 沙耶香文藝春秋Amazon ここイギリスには日本のような24/7のコンビニがない。夜中に腹が空いても弁当やパンを買いに行けない。いや、日中でさえあれほどのクオリティの食事は気軽に手に入らない。 そうして、コンビニ渇望症…

日本語のこと: 「に」or「へ」

最近、ある部下のメールをいくつも書き直していてふと気がついたことがある。助詞の「へ」を「に」に直すことがあまりにも多い。もちろん「へ」が適切でないと感じたからこそ修正したわけではあるが、同時に、自分のなかでこれらの違いがはっきりしていない…

ネイティブの英語が聴き取れません(2022年の抱負)

かつては毎年目を輝かせながら目標を練り上げていた僕も、この歳にもなると新年の目標について卑屈にもなってくる。 2021年は生きてイギリスにやってきて、餓死せずに生き延びた。それだけで充分なのだ。事実、神経を多少病んだが、肉体は一応支障なさそうに…

英検1級の勉強方針、考えた

英検1級の勉強方法を色々と考えてみました、というお話。 1. 語彙 まず語彙を固める。5年くらい前にパス単を1周はしたので1割くらいは頭に残っているはず。ただ、素直にパス単を使うのが定石とは思うものの、日本に書籍のパス単を置いてきたので手元になく、…

英検1級を受けたいやつ、おれ

なんとロンドンでは、TOEICは受けられないくせに、英検は受けられるのである。まーどうせTOEICはまだ満点を取りに行く力は備わっていないので、いいのさ。 ということで英検1級を受けようと思い立つ。目指すは2022年1月。あと3ヶ月。実はケンブリッジ英検も…

ロンドン到着の日のこと

東京を出発し、ロンドンに到着してからもう1ヶ月が経ってしまった。 色々アウトプットしたいと思いながらも、初めて暮らす異国で気もそぞろがちに、いつの間に時間がだいぶ過ぎた。 1. フライト 7月2日は梅雨の朝だった。そんな日に僕は大量の荷物を全身で引…

ACCAの勉強方法その1: Applied Knowledge 3科目を1ヶ月でパスするのに必要な勉強

昨日、ACCAの3科目目を受験して無事合格しました! これで、ACCA基礎科目制覇、フェーズ1完了です。 5月に思い立って1ヶ月ちょっとで3科目取れたのは快挙じゃないですか!(ドヤ) (6月からは有給消化中なので、MAは専念みたいな状況でした) FAを受けたときに試…

ACCA: Business and Technology(BT)の勉強方法と勉強時間

日本人でACCAを受験している人はひよこ鑑定士よりも貴重な存在らしいです、ろきんです。 今回は、5/22に受験したBT(Business and Technology)という科目の概要と、私が行った勉強方法・勉強時間についてご紹介します。 過去記事はこちら 1. BTの概要 1.1 シ…

ACCA一科目(BT)合格したので、受験記録など

本日、ACCAのBT(Business and Technology)という科目を受験してきました。 ACCA自体初受験で緊張しましたが、結果は合格です! ACCAはすべて50%以上が合格なので、77%はそこそこな出来映えでしょうか。 5月から勉強開始して5月中に1科目潰せて良かったです。 …

UKに飛ぶ税理士が、英国勅許公認会計士(ACCA)を目指してみる

昔からblogが続かない病気にかかっているので、もう文字数とか気にせず、書き散らすことにします。 AIがどうこう言ってましたが、この5月からACCAの勉強を開始しました。もちろん、データ分析のための勉強を全くしていないわけではないのですが……。そちらの…

所得税基本通達59-6改正の余波 第2回「通達59-6の読み方」

今日も通達改正を機に話したいことをべらべらと書いていきます。 前回は所得税法59条(みなし譲渡)についてでしたが、第2回である今回は59条に関連して「個人が株式を売買するときの時価」を算定する際に実務上非常に重要な通達59-6の読み方を解説をしてみま…

所得税基本通達59-6改正の余波 第1回「みなし譲渡」

税務界隈に激震が走っています。 ちょっと盛ってます。 というのも所得税基本通達59-6の改正に当たって出されたパブコメの結果公表に「えっなにそれ……それじゃうちら間違ってたんじゃん」っていう実務家勢ぶん殴り系のハンマー攻撃が含まれていたからです。…

数弱ちゃんのここまでの流れと9月の予定

緊急事態宣言下で引きこもって仕事していたら急にデータサイエンスに興味を持ち始めた男、ろきんです。 税理士がAIに負けるなら、AIに降ればいいじゃないのという発想でおります。 出会って3秒で土下座して寝返るのがDX時代の処世術と信じてる。 トチ狂って…